薬剤師の仕事内容をわかりやすく解説|病院・薬局・企業で何をしている?

薬剤師 仕事内容

薬剤師の仕事内容をわかりやすく解説|病院・薬局・企業で何をしている?

薬局で薬を受け取るとき、

「薬剤師って、実際にはどんな仕事をしているんだろう?」

と、疑問に思ったことはありませんか。

また、薬剤師を目指している方の中には、

「病院や調剤薬局以外にも働き方はあるのだろうか」

と、将来の進路に悩んでいる人もいるかもしれません。

薬剤師は、単に薬を渡すだけの仕事ではありません。

処方内容の確認や副作用の防止、医師との連携など、患者さんの安全を守るために専門的な判断を行う重要な役割を担っています。

また、企業や行政、在宅医療など、活躍の場も広がっています。

この記事では、薬剤師の仕事内容や役割、職場ごとの違い、1日の仕事の流れ、向いている人の特徴まで、一般の方にもわかりやすく解説します。

薬剤師という仕事を正しく理解し、進路や将来を考えるヒントとして役立ててください。

筆者プロフィール
病院薬剤師として約10年勤務後、製薬会社の学術・コールセンター部門にて12年以上医薬品情報業務に従事。
調剤薬局での実務経験も有し、臨床・企業・薬局の多角的な視点から薬剤師の働き方や医療情報を発信している。
現在は、医療分野を中心に執筆活動を行うフリーライター。  
目次

薬剤師の仕事内容とは?働き方や役割をわかりやすく解説

薬剤師

薬局で薬を受け取るとき、「薬剤師は薬を渡して説明する人」という印象を持つ方が多いかもしれません。

しかし実際には、その裏側で患者さんの安全を守るための専門的な判断が行われています。

薬剤師は「薬を渡すだけ」の仕事ではない

薬剤師の仕事は、処方箋どおりに薬を集めて、患者さんに渡すことではありません。

処方された薬がその患者さんにとって本当に適切かどうかを確認することが、重要な役割の一つです。

たとえば、

・薬の量が体重や年齢に合っているか
・すでに飲んでいる薬との飲み合わせに問題はないか
・持病や体調を考慮して安全に使えるか

こうした点を、短時間で総合的に判断します。

また、処方内容に疑問がある場合は、医師に問い合わせて確認を行う重要な役割があります。

薬剤師の社会的役割は、薬剤師法第1条において、次のように定められています。

「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」

薬剤師は、薬の調剤だけでなく、安全性の確保や情報提供を行うことが求められており、「薬の安全性に最終責任を持つ専門職」と位置づけられているのです。

参考:薬剤師法|厚生労働省

医師・看護師との役割の違い

医療現場では、医師・看護師・薬剤師がそれぞれ異なる専門性を持ち、役割分担をしています。

職種主な役割専門性
医師診断・治療方針の決定、処方診断・治療
看護師患者ケア、診療補助ケア・観察
薬剤師薬の調剤・監査・服薬指導 薬の適正使用・安全性管理薬物療法

医師は、病気を診断し、治療方針を決定する立場です。どの薬を使うかを判断し、処方箋を発行する権限を持っています。

看護師は、患者さんのケアや診療の補助を行い、治療が円滑に進むよう支えます。患者さんの状態変化にいち早く気づく存在でもあります。

薬剤師は、薬の専門家として、処方された薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑える責任を担います。

病院で処方せんを発行してもらい、薬局で薬を受け取る「医薬分業」も、こうした多職種によるチェック体制を強化し、安全性を高めるための仕組みです。

薬剤師の主な仕事内容

薬剤師の仕事は、単に処方箋どおりに薬を用意することではありません。

薬の専門家として、その薬が「この患者さんにとって本当に安全で適切か」を多角的に判断し、最後に責任を持つことが、薬剤師の役割です。

どの職場で働く場合でも、薬剤師として共通する基本的な仕事内容を紹介します。

調剤業務と処方箋チェック

調剤業務というと「棚から薬を取って袋に詰める仕事」というイメージを持たれがちですが、実際にはその前段階に重要なチェック業務があります。

薬剤師は処方箋を受け取ると、

・薬の量や回数は適切か
・年齢や体重、体調に合っているか
・飲み合わせに問題はないか
・同じ作用の薬が重複していないか

といった点を、確認します。

もし処方内容に疑問点があれば、医師に確認する義務があります。

この行為を「疑義照会(ぎぎしょうかい)」といい、医師の処方ミスや見落としによる事故を防止する重要な役割を担っています。

また、調剤には技術的な作業も含まれます。

複数の軟膏を混ぜ合わせたり、粉薬を調整したり、子どもでも飲みやすいように味や形状を工夫したり、一包化(1回分ずつ薬をまとめる)を行ったりするのも薬剤師の仕事です。

服薬指導と患者対応

薬剤師は、薬を渡すだけでなく、患者さんが正しく安全に薬を服用できるよう支援する役割を担っています。

服薬指導では、

・いつ、どのように飲むのか
・飲み忘れた場合はどうするか
・注意すべき副作用は何か

といった説明を行いますが、一方的に話すだけではありません。

患者さんの生活習慣や不安を聞き取り、「その人に合った薬の使い方」を一緒に考えることが求められます。

また、薬を継続して使用している患者さんに対しては、

「前回の薬で体調の変化はありませんでしたか?」

といった声かけを行い、副作用の早期発見にも努めます。

薬剤師は、医師よりも患者さんと接する機会が多く、日常的に体調の変化を把握できる医療職でもあります。

薬の管理と安全性の確保

薬剤師の仕事には、表に見えにくい安全管理業務も多く含まれます。

薬局や病院では、

・使用期限の管理
・温度や湿度の管理(特に注射薬や生物学的製剤など)
・麻薬・向精神薬など、厳重な管理が必要な薬の保管

を徹底して行っています。

さらに、医薬品の世界は日々変化しています。

新しい薬の登場や、副作用情報の更新が絶えず行われるため、薬剤師は常に最新の情報を学び続ける必要があります。

こうした地道な管理と情報更新によって、患者さんが安心して薬を使える環境が支えられているのです。

薬剤師の仕事内容は職場でどう違う?働き方の違いを解説

オンライン服薬指導

薬剤師の仕事内容は、働く職場によって大きく異なります。

同じ「薬剤師」という資格を持っていても、求められる役割や一日の流れ、忙しさ、関わる相手はさまざまです。ここでは、代表的な職場ごとに仕事内容を解説します。

勤務先主な業務内容特徴
病院病棟業務、チーム医療、注射薬調製専門性が高い
調剤薬局調剤、服薬指導、在宅医療地域密着
ドラッグストアOTC販売、健康相談、店舗運営、調剤(店舗による)幅広い知識
企業・行政研究開発、DI、治験、薬事、環境衛生デスクワーク中心
学校薬剤師学校環境衛生管理非常勤が多い

病院で働く薬剤師の仕事内容

病院薬剤師は、医師・看護師など他職種と連携しながら、治療を支える「チーム医療」の一員として働きます。

主な業務は以下のとおりです。

入院・外来患者の調剤業務
処方内容の確認(用量・相互作用・重複投与など)
病棟業務(服薬状況の確認、副作用モニタリング)
医師や看護師からの薬に関する相談対応
注射薬の混合調製(抗がん剤、TPNなど)

病棟業務では、患者さんの状態を把握したうえで処方提案を行う場面もあり、薬の専門家としての判断力が求められます。

一方で、当直や休日出勤がある病院も多く、勤務体制は比較的ハードになりやすい傾向があります。

参考:病院薬剤師になろう|日本病院薬剤師会

調剤薬局で働く薬剤師の仕事内容

調剤薬局(保険薬局)の薬剤師は、地域住民に最も身近な医療従事者としての役割を担います。

主な業務は以下のとおりです。

・処方箋に基づく調剤業務
・処方内容のチェック(用量・日数・相互作用など)
・服薬指導・服薬状況の確認
・お薬手帳の管理
・医師への疑義照会

患者さんと直接会話する機会が多く、コミュニケーション力も大切です。

近年は、在宅医療に力を入れる薬局も増えており、訪問服薬指導を行うケースもあります。

病院と比べると夜勤は少ないものの、繁忙期(特定の診療科の処方集中など)は忙しくなりやすいという特徴があります。

参考:薬剤師とは|日本薬剤師会

ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容

ドラッグストアの薬剤師は、調剤業務とOTC医薬品の販売を両立する職場で働きます。

・調剤業務(調剤併設型店舗の場合)
・OTC医薬品の販売・相談対応
・健康相談(症状に合った薬の提案)
商品管理・売り場づくり
・店舗運営に関わる業務(発注・在庫管理など)

このような業務を主に行います。

一般の来店客から直接相談を受けるため、幅広い疾患やセルフメディケーションの知識が求められます。

一方で、営業時間が長く、土日祝日の勤務が発生するケースもあるため、働き方には向き不向きがあります。

企業・行政などで働く薬剤師の仕事内容

薬剤師は、病院や薬局といった医療現場以外でも、専門性を活かして働くことができます。

これらの職場では、患者さんと直接接する機会は少ないものの、医薬品の適正使用や安全性を支える重要な役割を果たしています。

デスクワーク中心で、比較的規則的な勤務形態が多いのが特徴です。

一方で、求人枠は限られる傾向があり、タイミング次第と言えるでしょう。

代表的な職場と仕事内容を紹介します。

製薬会社

医薬品の情報提供や資料作成を行う学術部門、医療従事者からの問い合わせに対応するDI(Drug Information)業務、安全性情報管理や臨床開発などに携わります。

CRO・SMO

治験の運営やモニタリングなど、医薬品開発を支える業務を担当します。

行政機関

医薬品や食品の監視、薬事行政など、公衆衛生を守る役割を担います。

学校薬剤師

学校環境衛生の管理や、水質検査・換気・照度のチェックなどを行います。

常勤ではなく、地域の薬局薬剤師が兼務するケースが一般的です。

参考:薬剤師の役割|日本薬剤師会

薬剤師の1日の仕事の流れ(イメージ)

投薬

薬剤師の仕事は、職場によって1日の流れが大きく異なります。

ここでは、調剤薬局と病院それぞれを経験した筆者の経験をベースに、薬剤師の1日の業務を紹介します。

調剤薬局で働く薬剤師の1日

時間帯業務内容
9:00
開局・準備
店内清掃、機器の立ち上げ、薬の在庫・使用期限の確認を行います。あわせて、当日の予約状況や在宅訪問の予定を把握します。
10:00~12:30
調剤・服薬指導のピーク
近隣医療機関からの処方箋が集中しやすい時間帯です。処方箋監査、調剤、服薬指導を行い、体調や服薬状況、副作用の有無などを確認します。
13:00
昼休憩
混雑状況に応じて交代で休憩を取ります。空き時間を活用して薬歴(服薬記録)を入力することもあります。
15:00
在宅医療・比較的落ち着いた時間帯
在宅医療を行う薬局では患者宅や施設を訪問します。来局患者が少ない時間帯は、薬歴整理や発注業務、調剤準備などを行います。
18:00~19:00
閉局・事務作業
残務処理や清掃、翌日の準備を行い業務終了です。薬局によっては夜間や土曜日も開局している場合があります。

病院で働く薬剤師の1日

時間帯業務内容
9:00
出勤・情報共有
夜間の出来事や患者さんの状態変化について申し送りを受けます。入院患者さんの検査値や処方内容を確認し、1日の業務に備えます。
9:30~11:00
病棟業務
病棟に出向き、服薬指導や処方内容の確認を行います。医師・看護師と連携し、薬剤選択や投与量について意見を求められることもあります。
11:00~13:00
注射薬・点滴業務
注射薬の払い出しや無菌環境での調製を担当します。抗がん剤などは特に厳格な管理と高い集中力が必要です。
14:00
カンファレンス・チーム医療
ICTやNSTなど多職種チームに参加し、治療方針を共有します。薬剤師の専門的視点から処方提案を行う場面もあります。
18:00
業務終了
日勤業務は終了ですが、病院によっては当直や夜勤を担当する場合もあります。救急対応を含め、より緊張感のある業務にあたることもあります。

薬剤師の仕事に向いている人・向いていない人の特徴

薬剤師は、専門知識を活かして人の健康を支える責任の大きい仕事です。

ここでは、現場の実情を踏まえたうえで、薬剤師に向いている人の特徴と大変だと感じやすい点を解説します。

向いている人大変だと感じやすい点
確認作業が苦にならないミスへのプレッシャー
学び続けられる立ち仕事が多い
人の話を聞ける対人ストレス

薬剤師の仕事に向いている人の特徴

薬剤師の仕事は責任が重い一方で、患者さんの安全を直接支えられる点にやりがいを感じる人も多い仕事です。

責任感が強く、確認を怠らない人

薬剤師の仕事では、薬の量や用法のわずかな違いが患者さんの健康に大きく影響します。

思い込みを排除し、常に「間違いがあるかもしれない」という視点で最終確認できる慎重さが求められます。

学び続けることを苦に感じない人

医薬品の情報は日々更新され、新薬や新たな安全性情報も次々と出てきます。

継続的に知識をアップデートできる人ほど、現場で信頼されやすくなります。

人の話を丁寧に聞ける人

服薬指導では、マニュアル通りの説明だけでは不十分です。

患者さんの生活習慣や不安を聞き取ることで、より実用的なアドバイスができます。

「話す力」よりも「聴く力」が求められる仕事と言えるでしょう。

薬剤師の仕事で大変だと感じやすい点

薬剤師の仕事は専門性が高い分、精神的・体力的にきついと感じる場面もあります。

ミスへのプレッシャーが大きい

薬剤師は常に「間違いが許されない」環境で働きます。

ダブルチェック体制が充実しているとはいえ、責任の重さに精神的な負担を感じる人も少なくありません。

体力的に意外とハード

調剤薬局や病院では立ち仕事が中心となり、忙しい時間帯は休憩を取りにくいこともあります。

デスクワーク中心の職業というイメージがある場合は、ギャップに戸惑うケースもあるでしょう。

対人ストレスがある

体調が悪い患者さんや、不安・不満を抱えた方と接する場面も多く、ときには厳しい言葉を受けることもあります。

医療職として、感情のコントロールが求められる場面は少なくありません。

薬剤師になるには?資格と進路の基本

薬剤師として働くためには、国家資格である「薬剤師免許」を取得する必要があります。

ここでは、薬剤師になるための基本的な流れを紹介します。

薬剤師になるまでの流れ

薬剤師になるまでの一般的なステップは、以下のとおりです。

薬学部(6年制)に入学
 ↓
6年間の専門教育と実務実習を修了
 ↓
薬剤師国家試験に合格
 ↓
厚生労働省への申請・登録を行い、薬剤師免許を取得

現在、薬剤師免許を取得できるのは6年制の薬学課程を修了した人のみです。

在学中には、病院や薬局での長期実務実習が組み込まれており、知識だけでなく、現場で求められる実践力を身につける仕組みになっています。

参考:薬剤師をめざすには|日本薬剤師会

高校生・薬学部生が知っておきたいポイント

理系科目の基礎が重要

薬学部では、化学を中心に、生物・物理・数学などの知識を幅広く使います。

特に化学は学習の土台となるため、高校生のうちから基礎を固めておくと良いでしょう。

4年制薬学部との違いに注意

薬学部には4年制と6年制がありますが、原則として4年制では薬剤師免許を取得できません

4年制は研究職や大学院進学を目指す方向けで、薬剤師免許の受験資格は得られないため注意が必要です。

学科修学年数国家試験受験資格主な進路
薬学科6年得られる病院、薬局、ドラッグストアなど
薬科学科4年得られない研究職、製薬会社など

資格取得後の進路は一つではない

薬剤師免許は、病院や薬局だけでなく、企業や行政など幅広い分野で活かせます。

学生のうちから「どこで働くか」だけでなく、「どんな働き方をしたいか」を意識しておくと、将来の選択肢が広がります。

薬剤師は幅広い職場で専門性を発揮する仕事

薬剤師は、単に薬を揃えるだけの仕事ではありません。

処方内容の確認や服薬指導を通じて、薬の効果を最大限に引き出し、副作用やリスクを最小限に抑える重要な役割を担っています。

また、病院や調剤薬局だけでなく、ドラッグストア、企業、行政、学校など、自分の興味やライフスタイルに合わせて多様な働き方を選べる点も、薬剤師資格の大きな魅力です。

高齢化の進展や在宅医療の拡大により、薬剤師には今後も専門性を活かした役割が求められ続けると考えられます。

薬剤師という仕事を正しく理解することで、「自分に合った進路かどうか」「どんな職場を選びたいか」が見えてきます。

将来を考えるうえで、本記事がその判断材料の一つになれば幸いです。

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